ロマン・ヤコブソンによってはじめて明示的に提唱された「証拠性」(évidentialité) の概念は、話者が発話文中でのべる情報をいかに入手したかを示すカテゴリーであった。
しかし、これまで多くの研究が、無批判に「発話から離れて、あらかじめ外在する情報源」を想定していたために、単なる情報源の分類のような皮相な分析におちいっていた。
それに対して本書は、第1部で、証拠性をあらたに「発話によって果たされる、言説と根拠の関係づけ」として動的に再規定するとともに、研究方法についても考察する。
そして第2部で、フランス語における事例研究をおこなう。具体的にはIl semble que..., Il paraît que..., 他者の言説をあらわす条件法、そして devoir の認識的用法をおもな対象として、多数の実例を観察しながら、つまびらかに分析する。
第3部では、事例研究によって判明した各マーカーに本質的な機能から、証拠性的な解釈がいかに生成されるかを示すとともに、証拠性とほかの領域とのかかわりを論ずる。
発話行為のさまざまなレヴェルと深く連関している証拠性を研究することは、言語活動そのものの解明にも資するところが大きい。証拠性研究、モダリティ論はもとより、フランス語の動詞論、発話論へのあらたな寄与として注目される。
ISBN4-86042-022-5
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ロマン・ヤコブソンによってはじめて明示的に提唱された「証拠性」(évidentialité) の概念は、話者が発話文中でのべる情報をいかに入手したかを示すカテゴリーであった。
しかし、これまで多くの研究が、無批判に「発話から離れて、あらかじめ外在する情報源」を想定していたために、単なる情報源の分類のような皮相な分析におちいっていた。
それに対して本書は、第1部で、証拠性をあらたに「発話によって果たされる、言説と根拠の関係づけ」として動的に再規定するとともに、研究方法についても考察する。
そして第2部で、フランス語における事例研究をおこなう。具体的にはIl semble que..., Il paraît que..., 他者の言説をあらわす条件法、そして devoir の認識的用法をおもな対象として、多数の実例を観察しながら、つまびらかに分析する。
第3部では、事例研究によって判明した各マーカーに本質的な機能から、証拠性的な解釈がいかに生成されるかを示すとともに、証拠性とほかの領域とのかかわりを論ずる。
発話行為のさまざまなレヴェルと深く連関している証拠性を研究することは、言語活動そのものの解明にも資するところが大きい。証拠性研究、モダリティ論はもとより、フランス語の動詞論、発話論へのあらたな寄与として注目される。
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